Annieの歴代一押しNo.082

2002年12月1日の投稿
おりはるこん
今週のイチ押し
File No.82(投稿イチオシ第四弾)
安彦良和「ナムジ」「神武」
(徳間書店刊・中公文庫コミック版)
もしタイムマシンで過去に行けるとしたら22年前に行き、「アリオン」の単行本第1巻を入手して喜んでいる自分に「機動戦士ガンダムTHE ORIGIN」の単行本を見せびらかせて得意気になりたい、そんな筋金入りの安彦良和フリークの私、おりはるこんが今回一押しするのが、「ナムジ」と「神武この二編の漫画です。
本書は1989年から1995年にかけて徳間書店より「徳間描き下ろしコミック叢書」として、数多くのハードカバーコミックスが市場をにぎわせていた頃に刊行されました。その後新装版として廉価版が発売され、文庫版コミックスの定着した最近中央公論社より文庫サイズで発売されています。

「ナムジ」は、大国主命、大黒様として知られる主人公「ナムジ」の成長を通して、日本神話を単なる神話ではなく人間の物語として生々しく描いた冒険譚。安彦漫画の真骨頂である、数奇な運命に翻弄されながらも力強く生きようとする主人公という、まさに大河ドラマのごとき魅力も健在。「スサノオ」「卑弥呼」という日本神話、古代日本史でおなじみの人物たちも神格化されたキャラクターではなくその時代を生きた人間として描かれています。また、日本古代史に置いてさまざまな学説が混在する邪馬台国、ヤマト、倭国の発生、変遷も諸説を踏まえた見地からリアルにかつ興味深い描かれ方をしています。

そしてその続編である「神武」は、ナムジの息子、武角身(たけつのみ)の少年期から青年期の成長をとおして後の神武天皇となる「イワレヒコ」との物語が描かれています。大いなる国の主、王を目指した父、ナムジとは異なり「イワレヒコ」なる聡明な少年につかえる事にその青春をかけた武角身。しかし父と同じように激変していく時代の運命に翻弄され、決して幸せな日々ばかりではなくむしろ辛い定めに抗いきれない人生を強いられます。

最近、読み返してみてつくづくそのストーリーテリングの巧さと、ドラマチックな画面構成に魅了され、再認識させられ「一押し」に推すことに至ったワケです。
 
安彦良和氏はご存じの通り「機動戦士ガンダム」を初めとする様々なアニメのキャラクターデザイン・作画監督、ひいては脚本、演出もこなすアニメ作家として有名でしたが、アニメ界から離れ漫画家としては、歴史の影に隠れた部分にスポットをあて物語を通してそれをつまびらかにせんとする数々の歴史漫画からアクション・メカニックも登場する冒険活劇までこなす作家としての実力はすでに周知のこととなって久しくもあります。
 
そんな氏が、現在執筆しているのが他ならぬ「機動戦士ガンダムTHE ORIJGIN」(角川書店刊)いわゆるファーストガンダムのコミカライズ版です。語りたいことはまだまだ山ほど有るのですが上手くまとめられません。
ともかくガンダム放映当時から始まった「アリオン」に端を発する安彦漫画のちょうど中間期に位置するであろう「ナムジ」「神武」の二編、第1次ガンダムフィーバー(死語?)から安彦氏の作品より遠ざかっていた方、「機動戦士ガンダムTHE ORIJGIN」で初めて安彦良和なる作家を知った方、いろいろな人にこの作品読んでいただきたくお奨めします。                                                   おりはるこん

イラストに関するコメント:
ガンダム以外の安彦キャラは久々に描きました。今回彩色の殆どはペインターを
使用しました。(いつもはPhotoshop)いまだ不慣れなソフトです。
 
中公文庫コミック版
ナムジ」第1巻

徳間描き下ろしコミック叢書
神武」第1部

徳間描き下ろしコミック叢書
ナムジ」第1部

  今回のイチ押しは おりはるこん 様よりの投稿 イチ押し。
20000ヒット記念イラスト、投稿イチ押し、本当にありがとうございました。本居宣長が研究したってのが、この時代のことですね。私も「項羽と劉邦」が読み終わったことですし、今度は古代日本のことを読んでみようかな。
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    毎週トップ更新!とのことですので、皆さんも毎週見に行かないといけまんね~(ちょっとプレッシャーかけてみたり)。

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