Annieの歴代一押しNo.125

2004年10月11日の投稿
Annieの
今週のイチ押し
File No.125

白倉信一郎
ヒーローと正義
子どもの未来社 (2004-06-20出版 ISBN:490133042X)
 読書の秋。でも、この本を読んだのは夏。具体例はたくさん書いてあるのですが、雲をつかむような話でイマイチわからず、2回読み返してしまいました。でも、これを読んでから、夏の映画3連戦「スチームボーイ」「ポケモン・デオキシス」「ガッシュ・101番目の魔物」を見に行ったら、いろいろ見えてくるものがあっておもしろかったです。ヒーローとか悪役とかの研究本って、いろいろ出ているのでしょうが、私は初めて読みました。
 正義のヒーローはいつも人間社会の外側にいて、大きな桃に乗ってやってくる。「怪獣」は、自然界にいたり、人間社会の中でオリに入って飼われている分にはいいんだけど、人里に下りてきたり、オリから逃げ出したりすると熊やサルのように駆除される。ところが、都市化が進み、怪獣のいたはずの秘境の範囲はどんどん狭められ、今や怪獣は絶滅危惧種で保護の対象。
 対する「怪人」は人間と言う存在の境界線を犯したことにより、存在自体が「悪」である。ヒーローは存在としては「怪人」と同じなんだけど、人間と交わることにより「正義」と化す。例えば人間の老夫婦に育てられるとか、乗り移るとか。そういえば、ヒーローって人間に飼いならされていますよね。
 人々はヒーローに法では裁けない悪を超法規的に裁くことを望むんだって。刑事が「あぶな」かったり、「はぐれ」ていたりするのはそのためなんだって。そういえば、「そんなの、ありえな~い!」ってな、学校の先生とか、医者とか、看護士とか、弁護士とか、探偵とか・・・まあ、いろいろ出てきますわな。で、基本的にはヒーローの役割は正義と悪、黒と白を分かつ「ジャスティス」をすることなんだって。
 第1章 「正義のヒーロー」はどこにいる 
 第2章 怪獣の悪・怪人の悪 
 第3章 世界の境界 
 第4章 勧善と懲悪/都市社会の秩序 
 第5章 「正義はひとつ」か 
 第6章 正義とジャスティス 
白倉伸一郎[シラクラシンイチロウ]
1965年、東京生まれ。1990年、東京大学文学部第三類卒業。東映株式会社テレビ企画制作部プロデューサー。『真・仮面ライダー/序章』『恐竜戦隊ジュウレンジャー』『超光戦士シャンゼリオン』など、特撮番組の制作を多数手がける。『仮面ライダーアギト』など平成仮面ライダーシリーズはブームとなった。1997~99年テレビ朝日に勤務、『研修医なな子』『チェンジ!』等を手がけるなど、幅広いジャンルでも活躍。2004年現在、『美少女戦士セーラームーン』が放送中。「世界のメタファー」という点が共通する、とオブジェクト指向プログラミングについて「Software Design」誌、「C‐Magazine」誌で連載を担当した経験も持つ。

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